失語症研究
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原著
失語発作を呈した42例のてんかん患者の臨床的検討
—随伴する他の発作症状の考察を中心として—
兼本 浩祐馬屋原 健
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1993 年 13 巻 3 号 p. 230-236

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抄録
本院にてんかんを主訴として来院し,単純部分発作を示した 563人の患者から失語発作を呈した 42人の患者を対象として選択した。その内訳は,言語理解障害が 24人,言語表出障害が 25人,喚語困難が 5人,錯語が 4人,読字困難が 2人であった。夢様状態(dreamy state)を訴えるてんかん患者群と比較して,失語発作を呈した症例群は,(1) 脳波上前頭部焦点を示す率が高い,(2) 複雑部分発作の合併率が低い, (3) 部分運動発作の随伴率が高く, (4) 複合視覚発作,不安発作の随伴率が低いことが統計的に確認された。この結果から,両群とも脳波上側頭部焦点を示すことが多いが,夢様状態は大脳辺縁系が深く係わっているのに対して,失語発作は新皮質との関わりが深いことを論じた。
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© 1993 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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