2021 年 60 巻 6 号 p. 337-343
背景 : メルケル細胞癌 (Merkel cell carcinoma, 以下 MCC) は皮膚における神経内分泌腫瘍の一つである. 今回, 舌に発生し原発部の自然退縮を認めた MCC を経験したので報告する.
症例 : 40 歳代, 男性. 右側舌縁部に硬結節を自覚し当院に紹介された. しかし受診時は消失しその後潰瘍を伴い硬結節が再燃, 舌生検にて異型細胞が観察された. それらは神経内分泌系マーカーに陽性を示し神経内分泌腫瘍と診断された. その後右側舌切除術・頸部リンパ節郭清がなされ, リンパ節にて捺印細胞診を行った. 壊死性背景, N/C 比の高い小型類円形から紡錘形異型細胞が上皮様集塊を形成し, 裸核様細胞も多く散見された. クロマチンはゴマ塩状であった. 舌においては確認されず自然退縮が考えられた. 原発部の自然退縮を示した MCC と診断がなされ, 現在まで再発を認めない.
結論 : MCC は時に自然退縮をする場合がある. 転移性小細胞癌や神経内分泌腫瘍の転移, 悪性リンパ腫との類似点も多く, 形態的鑑別は困難であり免疫染色や電子顕微鏡学的検査にて総合的に判断する必要がある.