失語症研究
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原著
失語症患者の語連想について
—失語型による差異—
立石 雅子
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キーワード: 語連想, 失語症, 意味の場
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1994 年 14 巻 4 号 p. 248-257

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抄録

慢性期の失語症患者90例 (失名詞失語, Broca 失語, Wernicke 失語各30例) ,健常者20例に対し,語連想課題として自由連想,統制した語連想,および選択課題の3課題を施行し,語連想成績における失語型別の差異について検討を行った。その結果,失語型によって語連想に差異が認められた。すなわち,失名詞失語は全般に語連想課題の成績が良好であるが,他の失語型とは異なり,刺激語と syntagmatic な関係にある語を刺激語との関係が強いものとして捉えていることが示された。Broca失語では全体の成績は失名詞失語と Wernicke 失語との中間に位置するが, syntagmatic な語と paradigmatic な語との出現頻度の比率などで失名詞失語より健常者と近似の成績を示した。Wernicke 失語は3つの失語型の中で最も健常者との隔たりが大きかった。さらにその差異は,それぞれの失語型における意味の場の構造の差異を反映するものであることが示唆された。

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© 1994 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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