失語症研究
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原著
右被殻出血の一症例における文の復唱障害
栗崎 由貴子能登谷 晶子小山 善子鈴木 重忠藤井 博之
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1996 年 16 巻 4 号 p. 308-313

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抄録
右被殻出血により,失語症と左片麻痺を呈した生来右利きの一症例を報告した。症例は発症時 49歳,男性。当科初診の発症から 16ヵ月経過時の言語症状は,軽度の言語理解障害および音韻性錯語を中心とした表出面の障害であった。とくに復唱障害が著しかった。発症から 40ヵ月経過時には,表出面で自発語や音読の改善は良好であったが,復唱の際に文レベルで,助詞が他の助詞に置換される障害が認められた。この傾向は発症から 55ヵ月時も同様であった。本例の復唱障害の誤り方は,波多野(1991)の錯文法性錯語を主症状とした伝導失語例に類似していた。
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© 1996 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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