日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
多発性嚢胞腎の病態と治療:新たな展開
武藤 智堀江 重郎
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2014 年 103 巻 4 号 p. 978-982

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抄録

常染色体優性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease:ADPKD)は両側腎臓に多数の嚢胞が進行性に発生・増大し,腎臓以外の種々の臓器にも障害が生じる最も頻度の高い遺伝性腎疾患である.加齢とともに嚢胞が両腎に増加,進行性に腎機能が低下し,70歳までに約半数が末期腎不全に至る.現在,進行を抑制する治療として降圧療法,飲水の励行が推奨されるのみである.つまり,嚢胞形成機序に対して作用し,保険収載されている薬剤はないが,いくつかの薬剤を用いて臨床治験が開始され,良好な結果が得られた薬剤もある.今後,病期進行を抑制する新規薬剤が実際に使えるようになれば,ADPKDに対する初めての根本治療であり,事実上全く治療法のなかった従来の状況と比べて劇的な改善が得られると期待されている.

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© 2014 一般社団法人 日本内科学会
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