失語症研究
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教育ワークショップ
コミュニケーションエイドの効用と限界
中邑 賢龍
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2001 年 21 巻 3 号 p. 194-200

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抄録

ハイテクコミュニケーションエイドは,限定された条件で,音声による誰にでも了解可能なコミュニケーションを成立させる。このことが,コミュニケーション意欲の高まり,自発的発声行為の出現などいくつかの副次的効果をもたらす。一方,認知障害のある人がエイドを操作するうえでは,それを理解できるかという問題がある。メッセージ数を増やせば,より実用的に会話ができるようになる反面,認知障害のある人にとっては,メッセージの選択が困難となるなどの問題を含む。本論文ではこの問題を中心に認知障害のある人へのコミュニケーションエイド利用の可能性について論じた。さらに,情報技術 (IT) の発達は新たなコミュニケーションを生み出しつつある。インターネット上のバーチャルなコミュニケーションの場は,対面コミュニケーションの苦手な人々に新たな空間を創出している。IT社会のエイドの姿についても言及した。

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© 2001 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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