失語症研究
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21 巻 , 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
教育ワークショップ
  • 佐野 洋子, 武田 克彦
    2001 年 21 巻 3 号 p. 167-168
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/04/25
    ジャーナル フリー
  • 矢守 麻奈
    2001 年 21 巻 3 号 p. 169-176
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/04/25
    ジャーナル フリー
        摂食・嚥下過程の先行期・準備期は高次脳機能に大きく影響されている。この2期が障害されると後続の口腔期・咽頭期・食道期にも負担を生じる。すなわち高次脳機能障害は嚥下障害を惹起あるいは増悪する要因となりうる。高次脳機能障害により,嚥下訓練も制限され,阻害される。高次脳機能障害を合併する嚥下障害症例に対しては,訓練法の選定と工夫,環境整備,監視・介助の強化をもって対応する。
        適切な対応を行うには,患者の嚥下機能と高次脳機能を共に正確に評価し,アプローチできる人材が必要である。かねて高次脳機能障害のリハビリテーションに参加してきた言語聴覚士は,嚥下障害のリハビリテーションにも積極的に携わる必然性がある。「嚥下訓練」は言語聴覚士にとって決して派生的・付加的な業務ではなく,高次脳機能障害と口腔・咽頭・喉頭の運動障害についての知識・技能を統合し,応用・発展させる場である。
  • 小嶋 知幸
    2001 年 21 巻 3 号 p. 177-184
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/04/25
    ジャーナル フリー
    19世紀末から今日に至るまで,古典論を代表とする失語学では,失語症は症状の組み合わせ,すなわち「症候群」という観点で分類・整理されてきた。古典分類の中に位置する代表的な失語タイプの1つであるウェルニッケ失語も例外ではない。本論では,はじめに (1) 「症状」と「障害」は同義ではなく,「症状」の背景にあって「症状」を発現させている原因が「障害」であること, (2) 障害のメカニズムを推定することなしに失語症への「対策」の立案はありえないことを述べた。続いて,これまで「症候群」の考え方の中で論じられてきたウェルニッケ失語を,「障害メカニズム」の立場から定義し直した。そして,定義をほぼすべて満たす典型的な症例1例の,約6年間の訓練経過を報告し,ウェルニッケ失語が長期にわたって機能回復を続けることを明らかにした。最後に,失語症者が安心して長期間集中的かつ適切な訓練を受けられる体制作りの必要性や,臨床上見逃してはならない失語症者の精神・心理的問題とその対策の重要性についても言及した。
  • 大石 敬子
    2001 年 21 巻 3 号 p. 185-193
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/04/25
    ジャーナル フリー
       発達性音韻性読み書き障害は,欧米では,音韻認識の発達の遅れをその障害機序として,10人に 1人の割合で生じることが報告されている。   低年齢期から中学2年,あるいは青年期まで指導した発達性音韻性読み書き障害4例について,平仮名,漢字,アルファベットの読み書きの学習経過と特徴,読み書きの誤りの分析,有効であった指導法,検査結果などを検討した。その結果4症例の読み書き障害の障害機序として,orthography を phonology に変換する coding 機能の障害と音韻発達の遅れが示唆された。平仮名,漢字では coding 機能の障害が,アルファベットでは音韻認識の問題が前景となることが示唆された。orthography と phonology 間の変換については,意味情報を媒介に変換を行わせ,coding 機能を補強する指導法が有効であった。
  • 中邑 賢龍
    2001 年 21 巻 3 号 p. 194-200
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/04/25
    ジャーナル フリー
    ハイテクコミュニケーションエイドは,限定された条件で,音声による誰にでも了解可能なコミュニケーションを成立させる。このことが,コミュニケーション意欲の高まり,自発的発声行為の出現などいくつかの副次的効果をもたらす。一方,認知障害のある人がエイドを操作するうえでは,それを理解できるかという問題がある。メッセージ数を増やせば,より実用的に会話ができるようになる反面,認知障害のある人にとっては,メッセージの選択が困難となるなどの問題を含む。本論文ではこの問題を中心に認知障害のある人へのコミュニケーションエイド利用の可能性について論じた。さらに,情報技術 (IT) の発達は新たなコミュニケーションを生み出しつつある。インターネット上のバーチャルなコミュニケーションの場は,対面コミュニケーションの苦手な人々に新たな空間を創出している。IT社会のエイドの姿についても言及した。
  • 武田 克彦
    2001 年 21 巻 3 号 p. 201-205
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/04/25
    ジャーナル フリー
    半側空間無視,注意障害,失語に対して薬物療法が試みられており紹介した。半側空間無視が注意の障害によって生じるのではないかとする説は根強い。この注意を支える脳内機構にはいくつかの transmitter が関与していると考えられる。半側空間無視に対して,TRH を用いた研究と bromocriptine を用いた研究について述べた。注意障害については noradrenalin 系の薬物が重要であることを述べた。次に失語の発話の開始などを標的に bromocriptine を投与した研究,さらに失名辞に対して cholin 作動薬を用いた研究を紹介した。またリハビリテーションと薬を組み合わせることが多いと思われるが,薬物が有効であると判断する実験デザインなどについても述べた。
原著
  • 渡辺 真澄, 種村 純, 長谷川 恒雄, 佐々木 浩三, 辰巳 格
    2001 年 21 巻 3 号 p. 206-215
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/04/25
    ジャーナル フリー
    新造語発話における機能範疇の使用状況を調べるため,新造語発話の多い流暢性失語症1例を対象に,動作絵を用いて動詞を発話させ,活用を調べた。活用形には,基本形,テ形,命令形の3種を選んだ。それぞれの課題における反応語の語幹は,約半数が新造語となった。これらの活用語尾と語幹末音素を検討したところ,新造語であるにもかかわらず活用語尾には動詞の語尾だけが現れた。さらに,基本形,命令形では,ほぼ動詞の語幹末音素だけが出現した。しかし,テ形では,逸脱例が多く出現した。これらの結果は,英語圏における,新造語発話に関する研究,および脳の損傷部位と規則・不規則動詞の過去形生成に関する先行研究の結果とほぼ一致し,日本語の新造語発話においても機能範疇が保たれる場合のあることを示している。さらにこれらの結果は,語彙範疇と機能範疇の使用頻度の差,という視点から説明される可能性を示した。
  • 野飼 千津子, 能登谷 晶子, 内山 尚之
    2001 年 21 巻 3 号 p. 216-221
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/04/25
    ジャーナル フリー
    本例は脳外傷により,左手の触覚呼称障害と,左手から右手へのみの一方向性の知覚移送障害を呈し,左手の失書や失行を示さなかった。交差性移送における大脳メカニズムの考察から,本例は,両側運動連合野間の経路は保たれているが,両側感覚連合野間の経路に障害があると考えた。また,脳梁病巣部位との関連から,左手から右手への交差性移送と左手の触覚呼称では,情報は両側感覚連合野を結ぶ脳梁体部後半背側部を通過し,右手から左手への交差性移送,左手の書字の際には,情報は両側運動連合野を結ぶ脳梁体部後半前方部を通過する可能性が示された。
  • 水田 秀子
    2001 年 21 巻 3 号 p. 222-229
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/04/25
    ジャーナル フリー
    右側頭葉後下部損傷により漢字に選択的な失読失書を呈した 73歳,右利きの男性例を報告した。本例で同時に認められた呼称障害と漢字失読との関連性について検討した。聴理解は良好であり,自発話における喚語は保たれていた。呼称では,視覚および触覚モダリティを介しては不良であったが,環境音からの呼称は良好であり,モダリティにより差が認められた。漢字の読みの検討では,音読の障害は高度であり,また読解も重篤に障害されていた。しかし,読みから漢字を選択・指示することは良好であり,方略により文字心像にアクセスは可能で,失象徴型の失読失書例とは異なった。通常の読みの経路では,漢字の適切な語/形態素 (音形・意味) を喚起できないが,視覚入力以外から漢字の読み (音形・意味) にアクセス可能であった。漢字失読と呼称障害の関係について意見を述べた。
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