抄録
ベッドサイドにおける,失語の定性的な観察・記載法について述べた。まえおきとして,脳卒中 (脳梗塞) 診療での失語の症候学的意義について概観した。
失語は,病変の側 (side),脳梗塞の病型 (ラクナ,アテローム血栓,心原性塞栓),病変部位について有力な情報となる。とくに Wernicke失語と心原性脳塞栓の関連について触れた。ベッドサイドの失語のみかたの要点は,話す (自発語,命名,復唱) ・聞く (聴覚的理解) ・書く・読む (書字理解) という言語の 4様式における障害とその質,失語症全体の重症度をつかむことである。