失語症研究
Online ISSN : 1880-6716
Print ISSN : 0285-9513
ISSN-L : 0285-9513
セミナー
視覚失認のみかた
岩田 誠
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 22 巻 3 号 p. 232-236

詳細
抄録

視覚失認を理解するにあたっては,視覚情報処理と認知のメカニズムに関するモデルが必要である。しかし,Lissauer が提唱した視覚失認に対する古典的な二分法理論は,視覚認知の神経機構における今日的な知見からみて,必ずしも適切とはいえない。すなわち,視覚認知の神経機構においては,モジュール構造による並列処理が営まれているとする考えが一般的であり,統覚と連合という 2つの過程の直列的なモデルは実際とは異なっている。視覚失認の臨床的な観察においては,このような点をよく理解し,視覚認知機構の障害に対するモジュール的な分析がなされる必要があると考えられる。

著者関連情報
© 2002 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
前の記事 次の記事
feedback
Top