抄録
1年以上言語訓練を継続した失語症患者20例について,SLTA下位項目の推移を検討し,以下の知見を得た.
(1) 理解は表出に比べ,発症初期から高得点を示した.
(2) 表出は長期間かけてゆっくり改善したが,なかでも語想起と書字は比較的順調な改善がみられた.
(3) 仮名障害も順調に改善するようにみえるが,課題の数や性質を考慮しないと安易に結論を出せないと思われた.
(4) 文の復唱は改善がみられず,記銘力障害の残存が予想されたが,やはり課題の性質を考慮する必要があると思われた.
(5) 長期間言語訓練を継続させるための条件について触れた.