失語症研究
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原著
左大脳半球摘除術施行例の神経心理学的機能
—31年に渡る長期間の追跡調査より—
鶴岡 はつ新井 弘之小川 宏桑名 昭治鹿島 晴雄加藤 元一郎佐久間 啓古川 博子田中 隆一植木 幸明
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1988 年 8 巻 3 号 p. 206-216

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抄録
    41歳, 右利き, 男性. 5才時発病, 右片麻痺, 知能障害と粗暴な行動が著明なため, 9歳11ヵ月時左大脳半球を摘除した症例の 31年に及ぶ神経心理学的機能の推移を追跡し検策した.
    言語は手術直後より, 誤りなく発しており, 発症より手術に至る 5年間の右脳機能の代償と考えられたが, その後も日常会話の域を脱し得ず, 思考力を要する複雑な課題の理解は困難であった. また構成機能などの障害も著明で知能障害の影響が主要因であった.
    25歳時, 3ヵ月間の集中訓練により IQの上昇, 書字, 計算の習得力にはみるべきものがあったが, 41歳現在では訓練前の状態にまで低下している.
    家人の協力の下, 清掃業者として自活の道を歩んでいる自験例に, 若し術後直ちに計画的・継続的な訓練を行えたなら, 書字・計算等現在まで残り活用されるものがあったのではないだろうかと考えるものである.
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© 1988 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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