失語症研究
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原著
両側視床梗塞により出現した記憶障害
大平 芳則鶴岡 はつ佐々木 修
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1989 年 9 巻 3 号 p. 199-204

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抄録

    CT上両側視床 DM 核及びその近傍の TPA 領域の梗塞と考えられる,両側性視床梗塞により出現した健忘症候群の1例を報告した.症例は63歳の男性で,意識障害で発症したが意識は急速に改善した.
    発症より11か月後,高度の前向性健忘,15年以上に渡る逆向性健忘,病識の欠如,時間的見当識障害がなお残存している.即時記銘は良好であるが干渉が入ると再生,再認とも著しく困難となり, また, 明らかな初頭効果と親近効果が認められた.しかし,前頭葉症状や失語症,如能低下はみられなかった.また, 作話的反応はごく軽度で典型的な Korsakow 症候群とは異なると考えられた.
    以上のような記憶障害を中心とした症状の発現は,両側視床の DM 核及びその周囲の限られた病巣のためと考えた.

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© 1989 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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