失語症研究
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9 巻 , 3 号
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シンポジウム座長記
シンポジウム
特別講演
教育講演
原著
  • 大平 芳則, 鶴岡 はつ, 佐々木 修
    1989 年 9 巻 3 号 p. 199-204
    発行日: 1989年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
        CT上両側視床 DM 核及びその近傍の TPA 領域の梗塞と考えられる,両側性視床梗塞により出現した健忘症候群の1例を報告した.症例は63歳の男性で,意識障害で発症したが意識は急速に改善した.
        発症より11か月後,高度の前向性健忘,15年以上に渡る逆向性健忘,病識の欠如,時間的見当識障害がなお残存している.即時記銘は良好であるが干渉が入ると再生,再認とも著しく困難となり, また, 明らかな初頭効果と親近効果が認められた.しかし,前頭葉症状や失語症,如能低下はみられなかった.また, 作話的反応はごく軽度で典型的な Korsakow 症候群とは異なると考えられた.
        以上のような記憶障害を中心とした症状の発現は,両側視床の DM 核及びその周囲の限られた病巣のためと考えた.
  • 今村 陽子, 植村 研一
    1989 年 9 巻 3 号 p. 205-212
    発行日: 1989年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
         右前頭葉に主病巣を持つ症例9例 (脳梗塞, 被殻出血,皮質下出血,脳挫傷,脳動静脈奇形,脳腫瘍) について半側空間無視を検出する検査 (臨床症状,同時知覚刺激,直線の二等分,線分抹消など) を行った.病巣の同定は X 線 CT にて行った.4症例には3週間ないし数ヶ月以上にわたる半側空間無視が存在した.この4症例の CT 所見から,前頭葉病巣が皮質下に広く広がり,大脳基底核に及ぶ場合か,前頭葉から頭頂葉に至るような病巣の場合に半側空間無視が起こりうると考えた.そして症状の持続は皮質および皮質下に限局した病巣では短く,大脳基底核や視床にも及ぶものは長かった.一方5例の半側空間無視の存在しなかった症例の CT 所見は病巣が前頭葉底面,前頭前野に限局し,基底核病巣では皮質と視床との繊維連絡を断たない程度の大きさであった.従って,右前頭葉病巣による半側空間無視のメカニズムは視床や頭頂葉への繊維連絡の途絶によって説明されると者えた.
  • 金子 真人, 種村 純
    1989 年 9 巻 3 号 p. 213-218
    発行日: 1989年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
         失語症者が動詞を表出するときの手がかりとなる副詞と擬音擬態語の動詞発話の促進効果を7名の失語症者について検討した.動詞発話が得られない場合に動作絵に続いて副詞あるいは擬音擬態語を聴覚的に呈示した場合の動詞発話の促進効果と, self-genereted cue として副詞および擬音擬態語を復唱後に自発的に発語した場合の促進効果が比較された.その結果,副詞や擬音擬態語が聴覚的に呈示された場合より復唱を繰り返した後に自発的に発話する方がより該当する動詞が引き出され易い症例が認められた.また, 動詞発話の促進効果が副詞よりも擬音擬態語に強いことが知られ, 両者の間に動詞発話にいたる過程で異なる処理が行なわれている可能性が考えられた.副詞や擬音擬態語が発話のための手がかりとして有効に機能するためにはその適用の仕方が異なることが示唆された.
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