水産増殖
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油膜回収装置によるアカハタ仔魚の鰾開腔率改善
川辺 勝俊木村 ジョンソン
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2008 年 56 巻 4 号 p. 613-617

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抄録

アカハタ仔魚期の鰾開腔率改善のために,油膜回収器を使用して水面の油膜を連続的に除去する飼育実験をふ化後20日目まで行った。油膜回収器は鰾の開腔が始まる6日齢から鰾開腔率が80%に達した7日齢までの照明点灯時に設置し,そのとき以外は浮上斃死防止のために,水面にフィードオイルを添加して油膜を形成させた区(油膜除去区)と,実験期間中常時油膜を形成させた区(対照区)をそれぞれ1区ずつ設定した。
油膜除去区の鰾開腔率は,開腔開始の6日齢が20.2%で,7日齢以降は73.3~87.5%で推移した。対照区は6日齢が3.3%で,7日齢以降では0~22.2%で推移した。この結果,油膜回収器による連続的な油膜除去方法は本種仔魚の鰾開腔率改善に有効であることが判明した。
実験終了時(20日齢)における生残率は,油膜除去区が12.8%であり,対照区が18.1%であった。20日齢での全長は,両区の間で有意差は認められず,約8.7 mm であった。

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© 2008 日本水産増殖学会
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