2009 年 57 巻 1 号 p. 1-8
本研究では,屋外のメソコスム水槽にてウシケノリの温度特性及び乾燥耐性を調査し,メソコスム水槽における最適条件を検討した。まず,室内培養にてウシケノリの生長及び原胞子形成に及ぼす水温の影響を試験した。短期的な生長及び原胞子の形成に最適な水温は20°Cであった。一方の長期的な生長においては,原胞子形成により藻体長は20°Cで 3 cm と最も短くなり,次いで15°Cで 5 cm となった。また,藻体長は10°Cでは60 cm と最も長く生長した。室内培養にて準備したウシケノリの種苗を用いてメソコスム水槽で培養を行った。メソコスム水槽においては,常に水面下にある藻体は珪藻及び雑物に覆われ,生長に適した培養条件ではなかった。一方,紫外線をカットしたうえで乾燥及び海水への浸漬を繰り返す培養条件では,藻体が最も良い状態であった。本研究の結果からウシケノリの生長には定期的な乾燥が非常に重要であることが分かった。