2009 年 57 巻 1 号 p. 61-69
健全なマダラ稚魚の種苗量産技術を開発するため,海上網生簀で明かりに蝟集する天然プランクトンのみを摂餌させたマダラ仔稚魚(以下,海上群)と陸上水槽でアルテミア幼生・配合飼料を摂餌させた仔稚魚(以下,陸上群)の飢餓耐性能を比較した。同一日齢ごとの比較では,肥満度に差はなかったものの,成長および飢餓耐性能は海上群が有意に優れていた。また,体サイズごとの比較においても,小型サイズの海上群は大型サイズの陸上群と同等もしくは,より優れた飢餓耐性能を示した。さらに,海上網生簀における飼育では 1 生簀当たりの収容密度が増加するにつれて成長や無給餌生残指数が劣ったが,同一密度の陸上飼育群と比べると明らかに優れていた。これらのことから,海上網生簀における飼育では天然プランクトンを活用できるため,放流種苗として必要な健苗性を具備できる可能性が高いことが示唆された。