水産増殖
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原著論文
飼育環境の違いがカワハギ仔魚の摂餌活動,摂餌量,生残および成長に与える影響
成田 篤史柏倉 真齋藤 寛岡田 喜裕秋山 信彦
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2011 年 59 巻 4 号 p. 551-561

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抄録

孵化5~20日後までのカワハギ仔魚の摂餌活動の日周変化と餌料密度や光周期の異なる環境で飼育した場合の摂餌数と成長および生残の違いについて調べた。仔魚の摂餌は照明点灯期間中に行われ,全ての成長段階で15~18時に消化管内の餌料数が最大となり、摂餌が最も活発となる傾向が見られた。孵化5日後の仔魚ではワムシ密度が高いほど日間摂餌数は多くなる傾向を示したが,孵化10日後の仔魚が摂餌したワムシ数は餌料密度よる違いはなかった。孵化直後より仔魚を24L:0Dまたは12L:12Dで飼育した場合,24L:0Dで飼育した仔魚の生残率は12L:12Dで飼育した仔魚に比べて高く,また,全長も大きかった。以上の諸結果から,カワハギ仔魚は餌料密度や光周期といった外部環境によって摂餌量が変化し,特に摂餌開始時期にその差が顕著に現れることが明らかとなった。このため,本種を効率よく飼育するための方法として,遊泳力の弱い孵化6日後頃までのワムシの高密度維持と照明の終日照射が有効であることが示唆された。

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© 2011 日本水産増殖学会
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