水産増殖
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原著論文
ニジマスのリン収支における飼料リンの影響
杉浦 省三
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2015 年 63 巻 3 号 p. 245-253

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抄録

本研究は低リン(LP)飼料と高リン(HP)飼料を用いてニジマス(平均体重129および115 g)を飼養し,リン制限下でのリン収支について調べた。同時に数尾の魚を無給餌で畜養し比較した。LP 飼料を給餌した魚(LP 魚)では血漿リン濃度が次第に低下した(0日目93 mg/l;32日目17 mg/l)。一方,HP 飼料を給餌した魚(HP 魚)と無給餌の魚は正常値を維持した(81-130 mg/l)。血漿リン濃度は LP 飼料給餌後,顕著に低下した。LP 魚は水中の溶存リンを少量吸収したが,無給餌魚は少量のリンを排泄した。LP 魚,HP 魚共に,溶存リンは血漿リン濃度に影響しなかった。LP 魚は HP 魚と比べて,全魚体あたりの灰分(65%),リン(67%)およびカルシウム(Ca; 39%)含量が顕著に低下した。魚体 Ca 含量がリン欠乏度の診断に有効と考えられた。

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© 2015 日本水産増殖学会
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