水産増殖
Online ISSN : 2185-0194
Print ISSN : 0371-4217
ISSN-L : 0371-4217
原著論文
マイクロサテライトマーカーから見たオニオコゼの遺伝的集団構造
高木 基裕松木 康祐岩本 俊樹水戸 鼓海野 徹也清水 孝昭
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 63 巻 4 号 p. 399-408

詳細
抄録

マイクロサテライト DNA マーカーを用いて,日本産オニオコゼにおける天然集団と放流魚の遺伝的集団構造を解析した。天然集団として西日本の8地点および韓国からオニオコゼを採集した。また,岡山(備讃瀬戸)の天然4年級群および ALC 標識された放流再捕魚3年級群についても採集し,6種のマイクロサテライトマーカー座を用い,遺伝的多様性解析を行った。遺伝的多様性を示す有効アリル数の平均値は,天然オニオコゼと放流オニオコゼで同等の値を示した(7.5~9.5)。ヘテロ接合体率の平均値についても,天然オニオコゼと放流オニオコゼで同等の値を示した(0.723~0.767)。また,放流再捕魚と同海域の天然オニオコゼ間に顕著な遺伝的異質性はみられなかった。国内のオニオコゼ天然集団間の遺伝的距離は0.026~0.058と小さかった。岡山県の天然集団と放流再捕魚の遺伝的距離も0.029~0.076と小さかった。

著者関連情報
© 2015 日本水産増殖学会
前の記事 次の記事
feedback
Top