水産増殖
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原著論文
胚発生期にストレス条件に置かれたアオリイカ類アカイカ型の生残
網田 全和志武 尚弥木村 琢磨海野 徹也池田 譲
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2019 年 67 巻 3 号 p. 241-248

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抄録

琉球列島近海の水深50-100 m に海上保安庁が設置した流速計に,アオリイカ類アカイカ型の卵塊が異なる3 つの年に産み付けられた。これら卵塊のうちの1 つは,採集直後の25時間程度,海水を含まないビニールパックに容れて冷蔵庫(8℃)に保存された。その後,この卵塊を閉鎖型循環水槽にて飼育したところ,正常発生を経て高率で孵化が見られ,孵化個体は4 か月間にわたり生残した。 一方,琉球列島近海の水深15-20 m に設置した人工産卵礁に産み付けられた孵化直近のアオリイカ類アカイカ型卵塊を採集し,前記の卵塊と同様の条件で飼育したところ,高率で孵化し,一部は性成熟に達した。これら2 つの卵塊由来の孵化個体の生残,成長を比較したところ,両者に違いは見られなかった。本研究はアオリイカ類アカイカ型の卵および孵化個体の初めての長期飼育記録であり,本種の卵嚢がストレス時に胚を防衛する機能を有することを示すものである。

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© 2019 日本水産増殖学会
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