水産増殖
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水質環境と魚類の成長―II
池水の循環および濾材の有無が池水の水質とアュの成長に及ぼす影響
千葉 健治
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1980 年 28 巻 1 号 p. 10-16

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抄録

1) 345×165×90cmのコンクリート水槽6面を用い, 注水量に毎分7.9lおよび1.9lの2段階を設け, 各注水量について注水のみ, 循環併用, 循環濾過併用の3方式で, 各水槽1.85kgのアユを収容し6週間の飼育を行った。
2) 各水槽とも前期3週間は異状なく飼育が行われたが, 後期の第5週の後半より6面中4面にエロモナス菌の感染による大量へい死がおきた。
3) いずれの水槽でもNH4-N, NO2-N, CODなどは漸増し, またpH, DOは低下した。注水量の多い水槽は少ない水槽に比べpH, DOは高く, NH4-N, NO2-N, CODなどは低い値を示した。いずれの注水量でも循環濾過併用水槽は循環併用水槽に比べ, DOおよびNO2-Nは高く, NH4-Nは低い値を示した。Ca, SiO2, 電導度などは注水量, 循環の有無と関係なくほぼ一様の値を示した。
4) COD, NH4-N, アルカリ度のうちの2項目相互には正の, またこれら3項目とDOとは負の相関が認められた。
5) 前期3週間の結果では, 日間成長率は一部に例外はあるが, 注水量の多い水槽で高い値を示した。
6) いずれの注水量でも, 日間成長率は循環濾過併用水槽が最も高く, 次いで循環併用水槽, 注水のみの水槽の順となった。
7) 日間成長率および餌料効率はCOD, アルカリ度とは負の, DOとは正の相関が認められた。この中, DOが最も強く影響しているものと推定された。
8) 注水量が少なくても循環濾過を併用すると, 注水量の不足を補い, より高い日間成長率を示す場合があった。

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