水産増殖
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水質環境と魚類の成長―III
換水方式が循環濾過水槽の水質及びアュの成長に及ぼす影響
千葉 健治
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1980 年 28 巻 1 号 p. 17-25

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抄録

1) 345×165×90cmのコンクリート水槽4面を用い, 注水のみ, 循環濾過・無注水, 循環濾過・注水併用 (注水量1l/min, 1回の換水に要する時間47.4時間) および循環濾過・換水併用 (換水頻度2日に1回) の4飼育条件で, 各水槽に平均6.65gのアユ350尾を収容し6週間飼育を行った。
2) 循環濾過・無注水水槽では, 飼育開始後12日目から死亡魚の多発が認められ, 14日目に飼育を打切った。他3水槽は6週間飼育が可能であった。
3) 循環濾過・無注水水槽ではNH4-N, NO2-N, COD等が急増し, 同一時期では常に最高を示し, 注水のみの水槽ではこれらの項目は最低を示した。循環濾過・注水併用および換水併用水槽ではこの中間の値を示した。
4) 循環濾過・注水併用水槽と同換水併用水槽とを比較すると, NH4-N, NO2-N, PO4-P, CODなどは換水併用の方がはるかに高い値を示した。
5) 循環濾過・無注水水槽を除く3水槽の水質中, NH4-NとCOD, また一時期のNH4-Nとアルカリ度に正の相関が認められた。
6) 日間成長率および餌料効率は注水のみの水槽で最も高い値を示した。しかし平均体重は注水のみ, 循環濾過・注水併用および同換水併用の3水槽間で有意差は認められなかった。
7) 本実験の注水のみ, 循環濾過・注水併用および同換水併用の3水槽で観測された水質変動の範囲内では日間成長率および餌料効率に大きな影響はないものと考えられた。

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