水産増殖
Online ISSN : 2185-0194
Print ISSN : 0371-4217
ISSN-L : 0371-4217
バイの養殖に関する研究-I
数種餌料の摂餌刺激効果および餌料価値について
梶川 晃
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 29 巻 1 号 p. 20-25

詳細
抄録

バイの稚貝と小型貝および大型貝を水槽に収容し, 各種餌料を投入して, 5分以内に摂餌行動を起こした個体数から, バイに対する餌料の摂餌刺激効果を検討した。また, 餌料のうち市販のうなぎ用配合飼料I, 配合飼料II, エビ, ヒレグロを餌として稚貝と小型貝を飼育し, それらのバイに対する餌料価値を検討した。
1) 供試した餌料で摂餌刺激効果の最も高いものはエビおよびスルメイカ冷凍肉で, 次いでスケトウダラ冷凍肉と生きゴカイであり, ヒレグロ冷凍肉は最も劣った。
2) 乾燥肉の摂餌刺激効果は同魚種の冷凍肉に比べて低く, 配合飼料とほぼ同程度であり, その煮沸肉はさらに低かった。また, その傾向は個体の大きさに関係なく, ほとんど同じであった。
3) 飼育当初の摂餌量は摂餌刺激効果に影響されたが, 全飼育期間をとおしてみると, 稚貝の場合の日間摂餌率は配合飼料I区が最も高く, 次いで配合飼料II, エビ, ヒレグロ区の順に高かった。小型貝の場合でも配合飼料I区がヒレグロ区に比べて高く, 稚貝, 小型貝のいずれも配合飼料を良く摂取した。
4) 稚貝の成長度 (殻長の伸び) は, エビ, ヒレグロ, 配合飼料I, 配合飼料II区の順に低下し, 小型貝の場合でも配合飼料I区はヒレグロ区に劣った。
5) 餌料効率は, 稚貝の場合にはヒレグロ, エビ, 配合飼料II, 配合飼料I区の順に低く, ヒレグロ区と配合飼料I区の餌料効率には約2倍の差があり, 小型貝の場合でもヒレグロ区は配合飼料I区より2.4倍も優れていた。
なお, 各餌料とも生存率は100%であった。

著者関連情報
© 日本水産増殖学会
前の記事 次の記事
feedback
Top