水産増殖
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洗剤の水生生物に対する毒性-II
コイの卵・仔魚および稚魚に対する陰イオン界面活性剤の毒性
有馬 多恵子高橋 耿之介川名 俊雄若林 明子菊地 幹夫
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1981 年 29 巻 1 号 p. 30-37

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抄録

1) 6種の陰イオン界面活性剤を用い, コイ (Cyprinus carpio) の受精卵, 仔魚および稚魚に対する急性毒性を調べた。
2) LASはABSよりも, またASはアルキル基の炭素数の多いほど致死毒性が強く, 6種の界面活性剤の致死毒性は,
C16-AS>C14-AS>LAS>C12-AS
≧ABS>C10/12-AS
の順であった。
3) 卵のLASに対する感受性は発生の初期ほど強かった。
4) LASおよびABSに対する感受性は卵, 稚魚, 仔魚の順に, C12-ASに対するそれは稚魚, 卵, 仔魚の順に, C14-ASに対するそれは仔魚, 卵の順に弱かった。
5) C10/12-ASは致死毒性は弱く, ふ化の遅れ, ふ化仔魚のわん曲, 仔魚の横転時間の延長等をひき起こした。
6) C10/12-ASおよびC12-AS以外は24時間TLm値と48時間TLm値が同じ値であった。
7) 各界面活性剤の濃度の増加と奇形出現率との間に相関は認められなかった。

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