水産増殖
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サヨリの仔・稚魚期における飼育
―特に比成長について―
大屋 二三岡 健司
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1981 年 29 巻 1 号 p. 57-61

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抄録

新潟県沖合で採集したサヨリの受精卵を, 1975年5月29日から92日間ガラス水槽内で飼育し, その発育過程・死亡・成長を観察した。
1) ふ化仔魚は全長平均8.1mmで, ふ化直後より餌をとりはじめた。ふ化後6日目には下顎が突出しはじめ, 28日目には体各部は完成してサヨリ特有の下顎の伸長が著しくなった。
2) 卵黄の吸収される期間は死亡個体は確認されず, ふ化後4日目から7日目にかけて大量のへい死が認められた。
3) 全長の成長曲線はふ化後30日までロジスチック式TL=37.9/1+e1.30-0.05Dで示され, 体重―全長関係はBW=1.275×10-6TL3.2597で示された。
4) 比成長ではBL/TL, AL/TLで等比成長, HL/TLで優比成長, MH/TL, AH/TLで劣比成長であった。
5) 体重減少および死亡個体数の増加から, ふ化後4日目から7日目がいわゆる‘critical periods’とみなせるようであった。
6) 全長に対する下顎を含まない頭長が強い優比成長から徐々に全長20mm位で等比成長になるものと思われた。

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