1994 年 42 巻 3 号 p. 471-476
人工飼育したゴマフエダイ仔魚について, 栄養転換期の形質の変化を形態学的に調べ, その結果を熱帯性海産魚類4種と比較した。ゴマフエダイ仔魚の摂餌開始時の全長と口径は各々2.77mmと0.220-0.232mmで, 比較した魚種のなかでは中間であった。フ化時の内部栄養量 (卵黄と油球; 1803×10-4mm3) も比較魚種のなかでは中間で, また開口時 (フ化後39時間) までは比較的ゆっくりと吸収された。しかし摂餌開始時 (フ化後66-70時間) の内部栄養量は最少で, フ化後114時間までに完全に消費された。すべての仔魚が摂餌を開始したのはフ化後210.5時間 (内部栄養の消失後96.5時間) であった。これらの結果から, ゴマフエダイ仔魚は栄養転換期の摂餌能力が低く, このことが初期飼育を困難にしている要因の一つであると考えられた。