1997 年 45 巻 4 号 p. 445-450
北海道積丹西岸に立地された発電所防波堤上におけるキタムラサキウニの分布と波浪との関係を明らかにすることを目的として, 南北の防波堤の内側と外側および近傍の岩礁域に定点を設け調査を実施した。波浪環境は, それぞれの地点の各水深帯に半球形石膏を取り付け, その減少率を比較することによって評価した。同時に, 各地点の垂直面および底面における海藻植生とウニの分布密度を調査した。それぞれの地点の水深帯毎のウニの分布密度は波浪環境の変化と対応した季節的な変化を示し, 波浪が最も厳しい北防波堤外側では, 上層における分布密度が低く, 特に時化が続いた秋・冬季には垂直面全体で極めて低くなっていた。海が穏やかな春から夏季にかけては, 垂直面における分布密度が高くなっていた。一方, 年間を通して穏やかな防波堤内側では, 5m以浅にウニが多数分布していたが, これは, 防波堤水面際のごく浅い場所には, アナアオサ等の海藻がみられ, これらの海藻を摂餌するために, 浅い場所へ移動してきたものと考えられた。