水産増殖
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日本産キジハタと韓国産キジハタの形態的および遺伝的差異
横川 浩治
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1997 年 45 巻 4 号 p. 489-495

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抄録

香川県沿岸の瀬戸内海に種苗放流された韓国産キジハタについて, 日本産のものとの形態的および遺伝的差異について調べた。形態形質について, 計量形質では多くの部位において両者間で平均値に有意差が認められ, 特に吻長, 眼径などにおいて顕著であった。計数形質でもいくつかの形質で平均値に有意差が認められ, 特に臀鰭軟条数では両者の頻度分布が明瞭に分離していた。遺伝形質では, AAT-2, EST, LAP, MEPなどの遺伝子座において両者の遺伝子頻度に有意差が認められ, 特にAAT-2EST遺伝子座において遺伝子頻度の差が顕著であった。両者間の遺伝的距離 (D値) は0.0052となり, その関係は少なくとも地方品種間の水準であることが示された。以上の結果から, 韓国産キジハタは日本産キジハタとは異なる系群であることが示唆された。

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© 日本水産増殖学会
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