水産増殖
Online ISSN : 2185-0194
Print ISSN : 0371-4217
ISSN-L : 0371-4217
海産小型ワムシ高密度培養過程における細菌数の変化とその制御
臼杵 考志吉村 研治吉松 隆夫
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 46 巻 2 号 p. 193-201

詳細
抄録

従来法で培養したワムシと高密度培養法で培養したワムシの細菌数の比較を実施した。高密度培養法では, ワムシに109CFU/gのレベル, 培養水に106~109CFU/mlのレベルの一般細菌が, 同様に105~106CFU/gのレベル, 103~106CFU/mlのレベルのTCBS細菌が存在し, 従来法の培養系内よりも1桁から2桁多い細菌が存在することがわかった。また培養水中の懸濁物の除去が不充分な場合には, ワムシの一般細菌数が1010CFU/gに達することもあった。これらの細菌数は必須脂肪酸強化を目的とする2次培養後にも変化は見られなかった。
次に, 細菌の増殖を抑えることを目的として, 合成抗菌剤 (ニフルスチレン酸ナトリウム) の1次培養過程, 2次培養過程の培養水への投与効果を検討した。1次培養過程への投与では効果が認められなかったが, 2次培養過程に2ppmから10ppmの抗菌剤を乳化油脂とともに投与する“薬浴を兼ねた2次培養”により, 細菌数を従来法で培養したワムシと同様の108CFU/gのレベルまで減少させることが可能であった。

著者関連情報
© 日本水産増殖学会
前の記事 次の記事
feedback
Top