水産増殖
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神通川の河川敷を利用したサクラマス幼魚の育成
田子 泰彦辻本 良松島 茂東 秀一桐山 泰司安井 慶亭今井 博範
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2000 年 48 巻 3 号 p. 489-495

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抄録

サクラマス幼魚の育成試験を行うために,神通川の河川敷に長さ157m,幅5m~6m,水深0.6m~1.2mの飼育池を1995~1997年に素堀した。各年の飼育開始時の平均体重と尾数は,それぞれ2.9gと20万尾,0.7gと57万尾および4.1gと23万尾で,放養から4~5カ月後の10月上旬頃には,それぞれ16.7g,17.1gおよび15.2gに成長した。素堀池で育成した幼魚の10月上旬頃の尾叉長,体重および肥満度は,1994年の神通川鮭鱒増殖場での飼育結果を上回った。幼魚の多くは配合飼料以外に落下昆虫などの天然餌料も利用していた。1995年秋に池から標識放流した幼魚の母川回帰率は0.24%と推定され,上記増殖場で育成し,秋・スモルト放流した幼魚の回帰結果とほぼ同等の回帰効果が得られた。河川敷を利用したサクラマス幼魚の育成は,サクラマスの増殖には極めて有効な方法の一つであると考えられた。

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