水産増殖
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摂餌開始期のケツギョ飼育仔魚による仔魚専食性
土井 敏男青山 茂
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2004 年 52 巻 3 号 p. 221-229

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抄録

飼育下において, 摂餌開始期のケツギョSiniperca chuatsi仔魚の食性を調べるため, 異なる種類の餌料生物を与えた場合の捕食状況と初期摂餌後の生残率を観察した。ケツギョ仔魚は自身の肛門前長 (平均2.44mm) より長い仔魚類を捕食し, ふ化後15日以上生残した。また, 自身とほぼ同じ全長 (平均5.80mm) の仔魚さえも捕らえ, その体の一部分を消化して, 残った部分を吐き出した。一方, 本種仔魚は口径 (縦径: 平均1.2mm, 幅: 平均0.79mm) より小さな動物性プランクトン類をまったく捕食せず, ふ化後9日以内に餓死した。照明下と暗黒下での捕食状況を比較したところ, 本種の摂餌は, 暗黒下 (3~13%) より照明下 (37~47%) で有意に多く, 仔魚の捕食は主に視覚によると考えられた。

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