2009 年 11 巻 p. 55-72
日本のアーカイブズ50年―Archives Japan 50―を振り返るにあたり、本稿では編成・記述・検索システム論の側面からその成果と課題を考察する。筆者が所属する京都大学大学文書館での「所蔵資料検索システム」構築の経験を手掛かりに、検索システム論については現在の検索システムの動向とその背景、編成論については親組織の改変(「経年変化」)をめぐる諸問題、記述論については標準化の意義についてそれぞれ指摘する。その上で、これからの日本のアーカイブズに向けた1つの試論として、日本における記述標準の策定を取り上げ、そのことを通じて「アーカイブズとは何か」というより根源的な問題への検討を深化させるべきであることを提起する。