2009 年 11 巻 p. 73-89
日本のアーカイブズ学は50年の歴史を重ねてきたが、映画フィルムやビデオテープ等の動的映像に関する取り組みはどの程度成されてきたのだろうか。まず、伝統的なアーカイブズとは異なる発達を遂げてきた動的映像アーカイブの歴史を概観し、次に主として紙・文字の記録資料を扱ってきた伝統的なアーカイブズおよびアーカイブズ学と、動的映像の関わりを振り返る。関連文献の調査の結果、日本ではアーカイブズ学よりもむしろ図書館情報学の分野で取り組まれてきたことがわかった。情報や記録がデジタルで生み出されるこれからの時代、資料保存は紙・動的映像等メディアごとに取り組むよりも、課題を共有して取り組むべきであろう。