アーカイブズ学研究
Online ISSN : 2434-6144
Print ISSN : 1349-578X
11 巻
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特集 2009年度大会
〈講演〉
〈企画研究会:Archives Japan 50 -アーカイブズ学からの照射-〉
  • 太田 富康
    原稿種別: シンポジウム
    2009 年 11 巻 p. 22-39
    発行日: 2009/11/10
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    2009年は「日本最初の文書館」といわれる山口県文書館設立から50年という記念すべき年にあたる。同館は、 その設立に際し、海外のアーカイブズにその性格と機能を学び、「文書館は民主主義の原理の上に立つものである」との理解に至った。そこからの50年目に公文書管理法がある。その第1条「目的」によって、山口の理解は日本全体の法的認識として位置づけられた。そこに至る50年を、2つの定義を持つアーカイブズの理解、 institutional archives とcollecting archives という2つの類型を軸に考える。

  • 山﨑 一郎
    原稿種別: シンポジウム
    2009 年 11 巻 p. 40-54
    発行日: 2009/11/10
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    本論文は、1959年、日本で最初に設置された山口県文書館の50年を振り返り、文書館設置に至る経緯と、設置後の業務運営の変遷について検討した。第1に、山口県文書館の概要を示すとともに、閲覧者人数の動向など

    50年間の推移をデータで示した。第2に、山口県文書館設置以前の山口県立山口図書館の動向を検討し、その前史が文書館設置にどのような影響を与えたのかを明らかにした。第3に、文書館設置後の業務運営のあり方を検討し、文書館の直面する課題を解決するための事業選択が行われたことと、それがその後の業務に与えた影響について述べた。

  • 清水 善仁
    原稿種別: シンポジウム
    2009 年 11 巻 p. 55-72
    発行日: 2009/11/10
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    日本のアーカイブズ50年―Archives Japan 50―を振り返るにあたり、本稿では編成・記述・検索システム論の側面からその成果と課題を考察する。筆者が所属する京都大学大学文書館での「所蔵資料検索システム」構築の経験を手掛かりに、検索システム論については現在の検索システムの動向とその背景、編成論については親組織の改変(「経年変化」)をめぐる諸問題、記述論については標準化の意義についてそれぞれ指摘する。その上で、これからの日本のアーカイブズに向けた1つの試論として、日本における記述標準の策定を取り上げ、そのことを通じて「アーカイブズとは何か」というより根源的な問題への検討を深化させるべきであることを提起する。

  • -近くて遠い隣人?-
    児玉 優子
    原稿種別: シンポジウム
    2009 年 11 巻 p. 73-89
    発行日: 2009/11/10
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    日本のアーカイブズ学は50年の歴史を重ねてきたが、映画フィルムやビデオテープ等の動的映像に関する取り組みはどの程度成されてきたのだろうか。まず、伝統的なアーカイブズとは異なる発達を遂げてきた動的映像アーカイブの歴史を概観し、次に主として紙・文字の記録資料を扱ってきた伝統的なアーカイブズおよびアーカイブズ学と、動的映像の関わりを振り返る。関連文献の調査の結果、日本ではアーカイブズ学よりもむしろ図書館情報学の分野で取り組まれてきたことがわかった。情報や記録がデジタルで生み出されるこれからの時代、資料保存は紙・動的映像等メディアごとに取り組むよりも、課題を共有して取り組むべきであろう。

論文
  • -編集文献学とアーカイブズ学の狭間で-
    明星 聖子
    原稿種別: 研究論文
    2009 年 11 巻 p. 92-111
    発行日: 2009/11/10
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    文学研究は何に基づいておこなわれるのか。本か、テクストか。この問いは、書籍のデジタル化が急速に進行するなか、文学研究の領域できわめて大きな意味を持ち始めている。編集文献学は、すでにここ数年、この問いに向かい合ううち、書物の物質性の<再現>をめぐって深刻なジレンマに陥っている。このジレンマは編集文献学を、いずれはアーカイブズ学と呼びうる領域へと徐々に引き寄せていくことだろう。本稿は、人文学系の研究資料に関して最重要といえる「オリジナル」の概念をめぐって考察を深めながら、文学研究資料をめぐる未来の学問動向について、予見的に語るものである。

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