アーカイブズ学研究
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論文
覚書 公文書管理法における「行政文書」について
青山 英幸
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2015 年 22 巻 p. 23-46

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抄録

この覚書は、2013年1月から2014年7月までに、公文書管理法体系の一部改正――閣議議事録の作成など――が検討された経緯を跡づけ、旧情報公開法体系の「車の両輪」遺産を継承したこの法体系につぎの問題があると指摘した。a)この法体系の「行政文書」の範疇に含まれないドキュメント/レコードとして、1)ドキュメント/レコードの一部として機能している市販刊行物など、2)公文書管理法以外の法律にもとづく「法定ドキュメント/レコード」、3)非「共用文書」としての「メモ」ドキュメント/レコードがあること、b)特定秘密保護法により2)のドキュメント/レコードの領域が一層拡張されたこと、c)閣議議事録などの真正性が3)の「メモ」ドキュメント/レコードと位置づけられ会議構成員の確認行為の欠落により損なわれていること、それとともに、閣議議事録作成のあらたな「神話」が発生しつつあると示唆した。これら諸課題を解決する方途として、各府省庁ドキュメント/レコードは国民の財産であるという観点から、公文書管理法と情報公開法の見直し、「行政文書」と上記1)から3)を「パブリック・ドキュメント/レコード」“Public Docurments/ Records”へ統合し、これら国民の財産を適正にコントロールするArchives Records Management: ARM を強力に推進する機関の創出に言及した。

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