2015 年 22 巻 p. 4-22
本稿では、日本の都道府県における行政刊行物の収集・保存のあり方を明らかにするために、三重県を事例に挙げ、行政刊行物の管理体制の現状と課題を検討した。三重県では、公文書館機能を合わせ持つ三重県総合博物館の新設をきっかけとし、行政刊行物の管理体制の再整備が行われた。新しい行政刊行物の管理体制は、①三重県立図書館、議会図書室への送付を訓令に規定し、行政刊行物の提供を支援すること、②三重県総合博物館を最終保存機関として位置づけ、三重県が作成した行政刊行物が1点以上は必ず保存される体制を確立したことに特徴がある。今後、制度の実践への取組みと共に、諸管理機関間の連携を図るための具体的な協力方案の検討を行い、行政刊行物の管理体制の適切な運用及び継続的な改善を図ることが求められる。