2016 年 26 巻 p. 28-46
第二次世界大戦中、ドイツから米国に亡命したエルンスト・ポズナーが戦争地域のアーカイブズのリストを次々と作成したことは坂口貴弘の『アーカイブズと文書管理―米国型記録管理システムの形成と日本』に詳述されている。その中の『日本、朝鮮、中国内日本占領地域のアーカイブズ施設』の仮リストを、米国国立公文書館所蔵の「ポズナー文書」中に見出した。本稿は、その『日本のアーカイブズ施設とレコードの集積の仮リスト』をポズナーの活動とともに紹介した上で、両者を比較し、集積されたレコードの現状を報告する。そして今なお注目される、日本の保護されるべき文化財リストという、いわゆる「ウォーナーのリスト」との関連を明らかにする。