日本農村医学会雑誌
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研究報告
非弁膜性心房細動症例における直接作用型経口抗凝固薬の使用実態調査
荒川 桃子樋浦 一哉谷口 知明小林 龍小原 秀治渡辺 浩明
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キーワード: DOAC, NVAF, 投与量
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2018 年 67 巻 1 号 p. 58-64

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抄録
 近年,非弁膜性心房細動(nonvalvular atrial fibrillation; NVAF)の心原性脳梗塞予防に対して直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant; DOAC)が承認された。DOACは,出血リスクが高い症例に対して減量投与を必要とするが,その投与量の基準は薬剤によって異なっている。そこでDOAC(ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバン)の投与量に関する調査を行なった。
 対象129例のうち投与量の基準と照らし合わせた結果,基準用量群が85例,基準外用量群が44例であった。基準外用量群の内訳は,減量投与が推奨されるところ通常用量を投与しているのが6例(通常用量群),通常用量投与が推奨されているところ減量し投与しているのが38例(減量群)であり減量群の方が年齢が高く,CHADS2 Scoreが有意に低かった。出血性イベント発生は基準用量群2例,減量群3例であった。また,血栓性イベント発生は基準用量群の1例のみであった。
 対象の約30%が投与量基準より低い用量で投与されており,特に高齢者に対し出血性イベントを回避するため,投与量を減らしている傾向がみられた。しかし本調査では減量投与症例においても出血性イベントが起きている。投与量基準外の用量における有効性や安全性の報告はされていないが,実臨床では多くみられる投与方法である。大規模なコホート研究などによりデータが集積されることが望まれる。
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© 2018 一般社団法人 日本農村医学会
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