アーカイブズ学研究
Online ISSN : 2434-6144
Print ISSN : 1349-578X
論文
オーストラリアにおける先住民の記録の管理と記憶の継承
レコード・コンティニュアム理論が拓く多元的管理の可能性
清原 和之
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2019 年 30 巻 p. 4-35

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抄録

本稿では、「奪われた世代」問題を事例として、フランク・アップワードによって提示されたレコード・コンティニュアム理論の一解釈を試みる。コンティニュアム理論はオーストラリアのレコードキーピングの伝統から生み出されてきた。しかし、公的アーカイブズ機関等が保有する記録に対するアボリジナルの人びとの「私の記録は誰のものか」という問いは、一組織母体の機能と活動を反映した単一の視点からのレコードキーピング活動の再考を迫るものであった。この問いを契機とした「和解」の試みの一つである「信頼と技術」プロジェクトをコンティニュアム・モデルの多元化という観点から検討する。そして、この「和解」の経験を一般化するものとして参加型レコードキーピング・コンティニュアム・モデルを採り上げ、その意義と課題を考察する。

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© 2019 日本アーカイブズ学会
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