2006 年 5 巻 p. 66-73
博物館、図書館、アーカイブズなどが扱う情報資料を広く文化情報資源と捉え、まず、「ドキュメンテーション」技術の形成と美術分野におけるドキュメンテーション・センターの実態を示して、こうした活動の存在がデジタル・アーカイブズの前提であることを強調する。次にアート・ドキュメンテーション学会の活動分野がこれら三つのディシプリンの統合の上に成立することを述べ、しかし、その教育研修システムは未形成であることを指摘する。第三に、駿河台大学文化情報学部の理念と教育体制を概説し、アート・ドキュメンテーションへの取組みを始めたことを特記する。最後に新たに登場した「痕跡の伝達」にかかわる研究としての「メディオロジー」の意義を検討し、こうした統合的視点が文化情報学のみならずアーカイブズ学教育においても重要であることを強調する。