2006 年 5 巻 p. 74-82
日本におけるアーカイヴズの整備・発展のためには専門職アーキヴィストの養成は不可欠である。しかし、現状ではアーカイヴズで指導者として働く職員は必ずしも専門職とは見なされていない。このために、日本でも専門職としてのアーキヴィストを養成すべきであると主張する人がいる。そこで著者はR.H.Hallの説に従い、アーキヴィストの社会構造的側面と態度的な側面から、専門職化が可能かどうかの評価を試みた。すなわち、職業、スクール、専門職団体、倫理綱領の存在があるかと言う社会構造に関する評価項目と、専門職団体の活用、大衆への奉仕の信念、自己規制の信念、職業的使命感、業務の自律性と言う態度的な指標についてである。この結果、日本のアーキヴィストは専門職化の途上であることが示された。