アーカイブズ学研究
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論考
対馬藩の御内書、老中奉書の選別
18世紀後期における文書管理の転換
東 昇
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2007 年 7 巻 p. 72-89

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抄録

対馬藩では宝暦期(1751-­1762)まで御内書、老中奉書を選別して成巻し、寛政期(1789­-1801)以降その全てを成巻するようになった。享保12年(1727)、宝暦5年(1755)の「御内書御奉書員数目録」と現存する老中奉書との比較を行った結果、御内書、朝鮮通信使関係の老中奉書のすべて、それ以外の老中奉書の約3割を選別し成巻していたことが判明した。それらは将軍の就任、交代をはじめ、幕府、朝廷、対馬藩、朝鮮国関係の臨時的な内容を選別していた。また未成巻の老中奉書は、将軍への挨拶、祝儀、献上など定期的な内容であった。そして寛政8年(1796)の全成巻への転換の要因は、文書管理を担当する表書札方の管理の効率化、日朝貿易衰退に伴う対馬藩財政の幕府依存体制への変化と考えられることを明らかにした。

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© 2007 日本アーカイブズ学会
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