2009 年 21 巻 2 号 p. 93-102
飲料・食品用産業機器において,耐食性が要求される部品の金属材料としてオーステナイト系ステンレス鋼が広く使用されており,この材料を使用した各種機能部品は他の材料との組合わせで構成されていることが多い.このような部品においては,腐食性を有する飲料や食品に接した場合,孔食,すきま腐食などの局部腐食を発生することがある.また,清涼飲料水などの飲料を扱う産業機器において,ステンレス鋼製部品がガスケットと接する部分ですきま腐食を生じることは度々経験しているが,プラントなどにおいては,ガスケットの材質の違いにより,すきま腐食の発生に差があることが知られている.しかしながら,ゴム材料がステンレス鋼のすきま腐食におよぼす影響についての報告は少ない.そこで,清涼飲料は酸性の溶液がほとんどを占めるため,飲料に使用される酸味料中における各種ゴム製ガスケットとステンレス鋼のすきま腐食の関係を明らかにし,適正な材料を求めることを目的として研究を行った.近年,飲料の酸味料としてアスコルビン酸の使用量が増加している.アスコルビン酸は,非酸化性であることから,主にこの溶液によるすきま腐食性を調べた.