2008 年 8 巻 p. 40-59
近年、国立大学にアーカイブズが設置されているが、これらのアーカイブズの多くは大学年史編纂室を前身とする。1991年、文部省令大学設置基準が改正され、自己点検・評価が努力義務規定として盛り込まれた。この段階で大いに主張された言説に、「大学史編纂活動は大学の自己点検・評価活動であり、自己点検・評価を行うには大学アーカイブズが必要である」というものがある。本稿ではまずこの言説について省察する。そしてその作業を通して、「教育研究」機関である大学アーカイブズは、「教育研究」に関する資料や情報を集積せねばならないことを主張し、大学アーカイブズの特徴について抽出することを試みる。