アーカイブズ学研究
Online ISSN : 2434-6144
Print ISSN : 1349-578X
8 巻
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論考
  • オーストラリア国立公文書館所蔵野澤組史料の事例
    秋山 淳子
    原稿種別: 研究論文
    2008 年 8 巻 p. 2-20
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    本論文は、オーストラリア国立文書館シドニー分館が所蔵する接収日系企業史料の一つ、Nosawa & Co.史料(野澤組史料)を対象として実施した試験的整理と目録記述作成の実践報告である。

    今回の整理に際しては、企業内で現用をはなれた文書を長期保存する際に用いられた、独自の文書分類法によって体系的に類別・整理された保存方式(「社内長期保存方式」と呼称)に着目し、編成基準を設定した。そして全体を11 の「シリーズ」に編成し、フォンド・シリーズ・目録の各記述を作成した。

    これらを通じて、野澤組史料の構造を分析し、企業活動の特徴と記録保存方式の対応関係について考察を行った結果、「社内長期保存方式」は一定程度企業の業務体系を反映したものであることが明らかになった。そこから、「社内長期保存方式」が企業史料の体系性理解の糸口となりうること、整理・編成において「社内長期保存方式」に基づき基準を設定することは、とくに野澤組のような小規模企業史料の場合、アーカイブズ学的な視点からも適切であるとの考察を行った。

  • 加藤 厚子
    原稿種別: 研究論文
    2008 年 8 巻 p. 21-39
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    映画は芸術作品であると同時に、企業により販売され世界規模の市場で消費される商品である。近年、映画は文化財・歴史資料として研究されているが、映画に関わる企業の企業資料については看過されてきた。映画という商品の特性や、企業における保存意識の低さから、映画関連企業資料の実態は明らかではない。その一方で、世界では企業資料を含む「映画遺産」の保存意識が高まっている。本稿では、映画関連企業資料の特徴を分析し問題点を指摘した上で、資料管理の観点から大手映画会社の歴史を概観し、企業資料の現況把握を試みる。そして関連機関によるアーカイブの取り組みを検討し、映画関連企業資料の調査・保存・公開における問題点を指摘し考察を行う。

  • 菅 真城
    原稿種別: 研究論文
    2008 年 8 巻 p. 40-59
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    近年、国立大学にアーカイブズが設置されているが、これらのアーカイブズの多くは大学年史編纂室を前身とする。1991年、文部省令大学設置基準が改正され、自己点検・評価が努力義務規定として盛り込まれた。この段階で大いに主張された言説に、「大学史編纂活動は大学の自己点検・評価活動であり、自己点検・評価を行うには大学アーカイブズが必要である」というものがある。本稿ではまずこの言説について省察する。そしてその作業を通して、「教育研究」機関である大学アーカイブズは、「教育研究」に関する資料や情報を集積せねばならないことを主張し、大学アーカイブズの特徴について抽出することを試みる。

  • アメリカの手引書類の分析から
    坂口 貴弘
    原稿種別: 研究論文
    2008 年 8 巻 p. 60-79
    発行日: 2008/03/31
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    「文書館学的史料整理論」については、手間がかかり実践が難しいといったコストパフォーマンスの観点からの批判が寄せられているが、欧米のアーカイブズ整理論を参考にして提唱された「段階的整理」の考え方には、むしろこの観点に近い要素が見出せる。そこで、段階的整理の実践をめぐる以下の課題を取り上げ、アーカイブズ整理に関するアメリカの手引書類ではこの観点を考慮しているかを調査した。1)シリーズをどう設定するか、2)分析的整理はどのレベルまで行うべきか、3)物理的整理はどのレベルまで行うべきか。いずれの課題に関しても、アメリカの整理手法にはコストパフォーマンスを重視する視点が貫かれており、段階的整理法を理解・実践する際にもこの視点は有効であると考える。

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