教育心理学年報
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Ⅰ わが国の最近1年間における教育心理学の研究動向と展望
言葉を学ぶ・言葉で学ぶ
清河 幸子
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2013 年 52 巻 p. 57-63

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抄録

 平成25年度に全ての種別の学校において実施されることとなった新指導要領では,言語活動の充実が謳われている。この言語活動の充実に関する実践的に有用な知見を提供していくことは,教育心理学の重要な課題と考えられる。本稿では,言語活動を(1)言語活動の学びと(2)言語活動を通じた学びの2側面から捉え,2011年7月から2012年6月にわが国において発行された研究の概観を行う。概観の結果,まず,書き言葉と比較して話し言葉を扱った研究が少ないことが明らかとなった。また,電子図書のような新しいツールを用いた実践の有効性を示す研究が存在していた。さらに,いくつかの研究により,ただ言語活動を導入すれば指導実践が促進されるわけではなく,何らかの補助的な工夫が必要であることが示されていた。今後は,話し言葉を用いた言語活動,特にプレゼンテーションに関する研究や,新しいツールを用いた指導実践の有効性を検討していく研究,そして,言語活動を通じた学びを有効にするための要因を特定する研究が必要であることが指摘された。

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© 2013 日本教育心理学会
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