抄録
本稿では,2012年下半期から2013年上半期あたりに行われた測定・評価領域の研究動向を概観した。測定対象となる構成概念を,パーソナリティや情動などの心理特性と,学力や能力などとに分け,尺度作成,テスト,テスト開発支援,理論などの観点からそれぞれの研究を捉えた。そして,以下のことを指摘した。(1) 尺度作成の中に信頼性・妥当性の検討を含まない意識があること。(2) パスモデルが適合することをもって,安易に短縮版尺度を作成する風潮があること。(3) 項目応答理論はもはや研究者だけのものではなく実用段階に入っていること。(4) 種々雑多なテストが氾濫している現在においては,構成概念の測定・評価に関する専門的な知識をもっと社会に伝える必要があること。しかし,(5) わが国の測定・評価の専門家の絶対数は少なく不足していることである。「テストで評価する」だけでなく,「テストを評価する」ことの重要性を社会全体に知らせることが,いま,測定・評価あるいは教育心理学全般の研究者に求められている。