2023 年 62 巻 p. 49-62
本論文は,日本教育心理学会第64回総会において発表された個人研究と2021年7月から2022年6月までに発行された『教育心理学研究』の掲載論文の中から,教育社会心理学分野に該当する研究の動向についてまとめた。また,2019年から2022年6月までに発行された『教育心理学研究』の掲載論文の中で,参加者の性別がどのように扱われているかについて,ジェンダーの視点から検討した。その結果,以下の5つのカテゴリーを見出した。(1)研究の目的上いずれかの性別に偏らざるを得ないもの,(2)参加者の性別が記載されていないもの,(3)「方法」において参加者の性別が記載されているが,関連した分析や考察がされていないもの,(4)性別を統制変数として扱っているもの,(5)性別に関連した分析と考察がされているもの。(2)と(3)のカテゴリーが大半を占めていたが,ジェンダーの視点をもった研究やそうした研究に発展する可能性のあるものが,カテゴリーを越えて存在していた。最後に,教育心理学におけるジェンダーに関連した研究の重要性を示唆した。