教育心理学年報
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I わが国の教育心理学の研究動向と展望
パーソナリティはどのように変わっていくのか?
―特性の変化に関する研究の動向―
千島 雄太
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2025 年 64 巻 p. 66-82

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抄録

 本稿では,パーソナリティ特性の変化に着目して近年の研究動向を概観する。まず,国内の研究動向を知るために,2021年7月から2024年6月の3年間に刊行された研究を中心として,本邦における研究を整理した。具体的には,パーソナリティの変化の程度と個人差,変化の要因(遺伝,ライフイベント,対人関係,介入・教育プログラム)について,得られた研究結果を示した。その上で,国外の研究で提唱されている,統合的要因モデルや,変化の4つのメカニズム(前提条件,トリガー,強化因子,統合因子)を説明するモデルを紹介する。さらに,近年注目を集めている自発的なパーソナリティの変化を取り上げ,現在までに得られた知見を解説する。今後の展望として,最新の研究動向に沿った研究を行う必要性,より広範なパーソナリティについて検証すること,変化の個人差に焦点を当てること,変化の意義を探求することについて議論する。

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© 2025 日本教育心理学会
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