アレルギー
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室内塵アレルギーと小児気管支喘息 : 1.発症の面から
松田 健一郎
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1964 年 13 巻 11 号 p. 705-714,735

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抄録

九大小児科受診の気管支喘息児について室内塵(H.D.)皮内反応, 眼反応, P-K反応, 気管支Acetylcholine(A.ch.)感受性試験, H.D.吸入試験を行い, 皮内反応と誘発症状との関係及び気管支喘息の発症機構について若干の検討を加えた.気管支喘息児の皮内反応陽性率は, 正常児のそれとくらべ有意の差があり, 皮内反応の結果とP-K反応はほゞ平行した.又皮内反応陽性児は70例中43例, 非陽性児は10例中1例がH.D.吸入試験陽性であり有意の差を示し, 皮内反応はスクリーニングテストとして有用なものと思われる.しかし一方皮内反応陽性者にも吸入試験陰性者も多く, 皮内反応陽性者について見れば, 皮内反応の強さと誘発症状の強さには関連は見られず, むしろ気管支A.ch.感受性と誘発症状の強さがよく平行した.P-K反応陽性で気管支A.ch.感受性が高いにかかわらず, H.D.吸入試験陰性のものにP-K反応陽性血清の吸入により気管支の受働感作をすることが出来た.これらの事実から抗原抗体反応が主役と考えられるH.D.吸入試験でも, ショック臓器の感作が症状発現に必須の条件であるが, 抗原抗体反応以外の生体側の条件も大きく関与していると考えられる.H.D.吸入試験から得た結果は, 自然の気管支喘息についてもある程度適用出来るものと考える.

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© 1964 日本アレルギー学会
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